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【オメガ】唯一無二！コーアクシャル機構の時計が欲しい！

投稿日：2022年06月30日

こんにちは！中野の時計店れんずです。
今回は店頭のお客様から質問される事が多い、オメガのコーアクシャルについてザックリご説明させて頂きます。
現代のオメガの象徴たるコーアクシャルを理解しておけば、買い物が捗りますね(^^)v

〇まずは『OMEGA(オメガ)』をざっくり説明すると

世界最大の時計製造グループ『スウォッチ」グループの中でも圧倒的な知名度と数々のストーリーを持ち、最も重要な役割を担うのが『OMEGA(オメガ)』です。
ブランド名を冠した『Ω（オメガ）』は1894年に完成し、「究極の」という意味を込めてギリシャ語の最終文字から『オメガ』と命名された高性能ムーブメント「19型キャリバー」に由来し1903年に社名に採用されたものです。また人類初の月面着陸への帯同、『ジャック・マイヨール氏』が素潜りの世界記録を樹立の際や1932年から続くオリンピックの公式タイムキーパー、映画『007』での採用等々、歴史的なストーリーを背景に持つのもオメガの魅力です。

↓近年のオメガの象徴的モデル達。

オメガシーマスターダイバー 300m コーアクシャルマスタークロノメーター 007エディションブラック 210.90.42.20.01.001

オメガスピードマスターオリンピック東京2020 2020本限定モデル 522.20.42.30.01.001

◯コーアクシャルとは

コーアクシャルは1974年にジョージ・ダニエルズ博士が発明した画期的な機構です。
元来、機械式時計は耐磁性の低さが難点でした。しかし、オメガはコーアクシャル脱進機を実用化。この問題点を解決したのです。オメガの現行モデルには、モデル名にコーアクシャル（Co-Axial）と付いたものが大半です。これはムーブメントにコーアクシャル脱進機を採用した証です。

出典：https://www.omegawatches.jp/

出典：https://www.omegawatches.jp/

○脱進機ってなに？

脱進機は、機械式時計のムーブメントの一部で、エスケープメントとも呼ばれます。時間の調整を担う部品です。
細かく説明すると、主ゼンマイのほどけていくエネルギーを歯車へ伝える際、主ゼンマイのほどけるスピードを調整するためのアクセルとブレーキになる部品です。

現在、多くの機械式時計に使用されている一般的な脱進機は、スイスレバー式と呼ばれるものです。その他、デテント式というものも存在しますが、一般的にならなかった理由は衝撃に弱く、また比較的姿勢差も出やすい事が挙げられます。

脱進機は、ひげゼンマイ、テンプ、アンクル、ガンギ車といったパーツで構成されています。テンプを規則正しく振り子運動させるアンクルの爪は通常2本ですが、コーアクシャル脱進機では3本なんです。

後に時代を経て改良が進み、ひげゼンマイとテンプは非磁性のシリコン製に（昨今ではロレックス等もシリコンパーツを取り入れています）。科学的に安定していて酸化に強いシリコンはかなり丈です。その他の部品も耐磁性の高いニヴァガウス（アモルファス金属をベースとしてオメガ内で開発された合金）を採用するなどオメガは進化が止まりません。

○スイスレバー式脱進機の特徴

スイスレバー式脱進機の特徴は、エネルギー効率が低い（30％程度）こと、研究する余地が無い程に研究され、これ以上の高精度を出すことは難しい。油切れを起こさないよう工夫やメンテナンスが必要です。

○コーアクシャル脱進機の特徴

コーアクシャル脱進機のメリットは、小さなトルクを有効活用できる効率の良さ、高い精度を出しやすく、主ゼンマイがほどけても正確さを維持しやすいという点です。要するに常に高い精度を保つことが可能なんですよ！
壊れ難くメンテナンスの間隔が8~10年と長いことも大きなメリットです。パーツの摩擦を軽減することで劣化を防ぎ、注油の必要をほぼ無くすことに成功しています。
コーアクシャルムーブメントと他の時計ムーブメントを比べると、一番の特徴にアンクルの多さが挙げられます。他ムーブメントはこのアンクルが2つですが、オメガのコーアクシャルムーブメントはアンクルが3つです。このパーツが増えることで、がんぎ車という最も摩耗しやすいパーツに負荷がかかりにくくなるように設計されているのです。

○マスターコーアクシャルはどれだけスゴイのか

コーアクシャルの耐磁性は1000ガウス。日常生活で晒される磁気は、電話機が大体50ガウス、大型のスピーカーで100ガウスくらいです。しかし、オメガはこれで満足しません。
マスターコーアクシャルは15000ガウスまで耐えられます。医療用のMRIは15000ガウス出しますが、それに耐えられるんです。驚異的ですね！

昔々、時計職人達からは「そこまで複雑な機械を量産するなんて無理だよ」なんて言われていたそうです。しかし、オメガは最先端の技術を用いてコーアクシャルムーブメントを製作し量産化に成功しているんです。技術者の努力と苦労の証ですね。

出典：https://www.omegawatches.jp/
でもね、部品を大量生産しつつも最後は人間がケーシングしているんですよ。画像はスイスはビエンヌにあるオメガ自社工房です。

○コーアクシャル脱進機生みの親、故ジョージ・ダニエルズ博士について

ダニエルズ博士は英国人の時計師であり、時計修復師でもありました。5歳の頃に時計を初めて見て衝撃を受け、10歳でトーマス・アーンショウ、ジョン・ハリソンらの伝記、時計製造に関する書物を愛読していたそうです。しかし、時計に関して正規の教育は受けておらず、全くの独学でした。WW2で欧州戦線に従軍した際は、仲間内の時計を修理したりと技術を磨きます。
時計修復などの仕事をしつアブラアム＝ルイ・ブレゲ氏の製作した時計を研究したりと、時計の研究家としても著名でした。著書として『ジ・アート・オブ・ブレゲ』（The Art Of Breguet 、1975年）、時計の製作法などを解説した『ウォッチメイキング』（Watchmaking ）等が存在します。
戦後、クラシックカー愛好家という一面も持つ博士は、愛好家仲間のヴィンテージ時計を修復するなど貪欲にノウハウを蓄積していきます。時計修復の傍ら、同軸脱進機搭載のトゥールビヨンを開発するなど、この頃から業界内でも話題になっていきます。そして1980年には同軸脱進機、そう、コーアクシャル脱進機の特許を取得します。
博士は自ら考案したコーアクシャル脱進機を様々なメーカーへ提案したそうです。
先ずはロレックスに持ち込みましたが、全く相手にされず。
パテックフィリップではあと一歩のところで契約に至らず。最終的に当時のオメガに持ち込んだところ、興味を示され正式採用されました。そして、1999年には開発と量産化に成功しました。

ちなみに博士は30年オーバーホールしていないのに精度も良いという、至高のオリジナルコーアクシャル機構の時計を持っていました。とんでもない。