腕時計に使用される素材は、ムーブメントと外装とに大別されます。
その中で、主にケースの素材には歴史的にも関心が集まりました。
携帯する時計が誕生した時代は、時計は貴族のステータスシンボルだったこともあり、金やプラチナ、銀などの貴金属が主に用いられていました。
その後、時代が進んで行くにつれて、腕時計の大量生産の時代が到来。
時計の領域も、機能やデザインへと人々の興味が広がり、必然的にケースの素材の多様化へと変化を遂げてきました。
では、一体どんなものがあるのか。
今回は「貴金属」について見ていきましょう。
貴金属
貴金属とは化合物を生成しにくく希少性が高いとされる金属のことを表しています。一般に、金(Au)、銀(Ag)と、プラチナの仲間である白金族の6種類、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)、ルテニウム(Ru)、オスミウム(Os)、イリジウム(Ir)の合計8種類を貴金属と称しています。
ケース用の素材に用いられる貴金属は、金・プラチナ・銀の三種類。
これらを加工したり、色を調整したり、強度維持の為にほかの金属を混ぜ合わせて使用します。
①金属 gold(Au)
金属の純度を示す単位のカラット(karat)は、金の含有率を24分割で表しています。
しかし、純度100%の金は、柔らかすぎるため、時計のケースやバンドを作るのに適していません。そのため、金以外の金属を混ぜて加工品に適した固さに調整してから加工します。最も美しく加工できる金の純度は、18/24=75%と言われています。この、純度75%の金が「K18(18金)」のことです。そして「残りの25%は、他の金属の「合金」なのです。
金に混ぜる金属(割金)の配合によって、色彩の変化します。
●イエローゴールド
割金は、銀(Ag)と銅(Cu)。比率によって、淡いイエローから赤みのあるイエローになります。
●ホワイトゴールド
割金は、パラジウム(Pd)だけのものや、銅・ニッケル(Ni)・亜鉛(Zn)も加えるものもあります。少し黄色味を帯びているので、ロジウムめっきをかけるのが一般的ですが、本来の色感をセールスポイントにするメーカーもあります。
●ピンクゴールド
割金は、銅が主で、パラジウムと銀を加えています。ヨーロッパでは、「ローズゴールド」と呼ばれているケースもあります。
金属の配合比率例
品位証明記号
貴金属における品位の表記はとても重要で、世界各国で品位証明記号が決まられています。
この記号はホールマーク(Hallmark)と呼ばれ、日本では下の表のような独立行政法人造幣局のホールマークが知られています。
ちなみに、下の表はイギリスのホールマーク。
左から、ロンドン・バーミンガム・エジンバラ・シェフィールド。
次は、左がロンドンのK18を示すマーク(イーグル)。右は、イタリアの生産地と業者番号を示したマークです。
②プラチナ platinum(Pt)
鈍く白い光沢が美しく、産出量の極めて少ない貴金属です。
プラチナの品位は、カラットではなく1000分率で表します。純度100%~85%までを4段階表示で示すのが一般です。
時計の外装や宝飾品に使われる素材の中で金と並んで高価な素材です。
酸に対して強い耐性を持ち、さびない特性があります。
日本語表記で「白金」と表記されるので”ホワイトゴールド”と間違えないように注意ですね。
➂銀 silver(Ag)
透明感のある白い輝きが綺麗であり、比較的産出量も多く安価なので、時計や宝飾金の外装素材に用いられます。
銀の品位はプラチナと同じ1000分率。純度100%~80%までを5段階表示で示すのが一般です。
空気中の硫黄化合物と反応して、表面が黒ずむ性質があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
以外にも色々な金属がケースの素材として使用されています。
日常でよく聞く「18金」にも、このような意味があったのですね。
証明記号については、腕時計を観察してみると小さく刻印されています。
一度、探してみてください。
では、本日は中場のブログでした。