こんにちは、中野ブロードウェイの時計店「れんず」です。
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先日入荷されたシャネルの「マドモアゼル J12 ラ・パウザ」。
文字盤の中の女性が時刻を指して教えてくれるという、何ともユニークな発想のタイムピースです。
「この女の人、誰?」
浮気を突き止めた彼女みたいな台詞ですが、私は疑問に思いました。
文字盤の中の女性、これ誰なんだろう。モデルネームの「マドモアゼル」さんかな?とか。
既にご存じの方には「そんなのちょっと考えたらわかるじゃん笑」とまで言われてしまうかもしれません。
確かに、私もちょっと考えてみたら予想を立てることができました。
この人、シャネルさんでは? と。
マドモアゼル・シャネル
シャネルさんでした。
フランスのラグジュアリーブランド「シャネル」の創業者、ココ・シャネルさん。
公式ホームページのダイヤルの欄にも「マドモアゼル シャネルのシルエット」との記載がありました。
画像: https://www.chanel.com/jp/watches/p/H7609/mademoiselle-j12-la-pausa-watch-38-mm/
よって、文字盤の中の女性=マドモアゼル=ココシャネルであるとしてよさそうです。
ちなみに、「マドモアゼル」はフランス語で「お嬢さん」とか未婚の女性に使う言葉なのですが、フランスでは2012年に差別用語にあたるとして、今後行政文書には使わないということになったらしいです。
日常生活でも余計ないざこざを避けるために使わなくなっていきそうですよね。
何十年か経ったら言葉自体が薄れていってしまうかもしれません。
私は個人的に言葉の響きが結構好みだったのでちょっと残念な気もします。顔と声の良いお兄さんに手を取られて柔らかく微笑まれながら「マドモアゼル」とか言われてみたくないですか? いや、これはちょっと乙女ゲームのやりすぎですね。
「ラ・パウザ」ってなに?
今回入荷してきたお時計の名前にも入っている「ラ・パウザ」。
イタリア語で「休憩」「休み時間」を意味する言葉であり、ココシャネルがリヴィエラの一帯に建てたヴィラ(別荘)の名前でもあります。
リヴィエラとは、フランスからイタリアのこの黄色いラインの辺り、沿岸部のことを指します。
シャネルさんが別荘を建てたのはフランス寄り(左の方)なのでフレンチ・リヴィエラとも呼ばれるそうです!
黄色いラインの左端辺りですね。
そんなラ・パウザでの安寧のひと時を過ごすココシャネルの写真がこちら。
画像: https://www.chanel.com/jp/about-chanel/the-founder/
今作の”マドモアゼル”と同じ服装ですね。
ショートヘア、セーラーシャツにパンツという、ラフでリラックスした姿を今作では取り入れたようです。
別の姿の「マドモアゼル」
2017年のマドモアゼル
こちらの、マドモアゼル・シャネルが文字盤内で時刻を指す「マドモアゼル J12」の初出は2017年。
こちらのマドモアゼルは「シャネルスーツ」と呼ばれる快適な女性用スーツに身を包んでいます。
555本限定で販売され、即完売だったそうです。すごい!
シャネルスーツ、正直私は「お母さんが入学式とかで着てくるやつ」みたいなイメージがちょっとあるんですが、非常に高い人気を得て広がっていったという証拠でもありますよね。
自分の作ったものが未来の遠い異国の地にも浸透しているなんて、考えただけでもそわそわしちゃいます。
2022年のマドモアゼル
今回入荷した「マドモアゼル J12 ラ・パウザ」は2023年に発表されたモデルですが、マリンルックの「ラ・パウザ」自体は2022年に登場しており、ベゼルにダイヤモンドがセッティングされていました。
今年のモデルはダイヤなし版としての登場だったようです。
ドレス姿のマドモアゼル
また、「マドモアゼル J12 コズミック」という、イブニングドレスを纏い、星のようなダイヤモンドと共に文字盤の中に佇むココシャネルを楽しめるモデルも登場しました。
55本という非常に僅かな数量限定で、2023年のモデルでありながらシャネルの公式サイトにも載っていない、レア度の高いお時計であることが分かります。
J12ではない「マドモアゼル」
1990年に発表された、スクエアケースにローマンインデックス、シャネルのアイコン的バッグ「マトラッセ」のチェーンのような、レザーを編んだブレスレットを持つ『マドモアゼル』。
そしてその派生モデルである、ココシャネルが愛し、大切にしていたシンボルなどをモチーフとした『マドモアゼル プリヴェ』。
プリヴェはプライベートと同じ意味で、私的な、個人的なという意味です。
これらも含め「マドモアゼル」と名の付くモデルに共通するのは、マドモアゼルとはココシャネルのことを指し、彼女の持っていた美しい世界観をエッセンスとしていることです。
気になったこと
*体の奥に時針があるので、5~6時が見えないのでは?
→写真を撮ってもらいました。
↑ 5時の姿
↑ 6時の姿
ちょっとサタデーナイトフィーバーみがあるポーズになりましたね。
そしてやっぱり奥の腕は見えなくなってしまいました。
見えない時間=5時/6時だ!みたいな関連付けが自分の中で出来れば、すっと時間を読むことができそうです。
これはちょっとした私の空想ですが、「5」を自らの特別なラッキーナンバーとして捉えていた彼女ですから、もし仮にココシャネルがご存命だったら、5時のインデックスは見えるようにしていたかも? なんて風にも考えちゃいますね。
*何故両方とも右腕なのか?
私の調査不足かもしれませんが、この「何故両方右腕なのか?」という疑問がどうしても解明できませんでした。
「そういうデザインだから」と言ってしまえばそれまでですが、何故そうなったのかを知りたいものです。
正面を向いた体と、3時側を向いた顔。体より奥に配置された左腕(であるはず)の時針は手の甲が見えていて、体より前に配置された右腕の分針では手の平が見えている。
これも「なんでだ??」と思いました。
普通逆じゃない?と思いつつ、答えは見つけられず。
腕の位置によっては自然に見えるときもありますが、手前側が手の甲、奥側が手の平が見えるようにした方がどの位置でも自然に見えるんじゃ、などと素人考えで思ってしまいます。
そんな私の中では今のところ、ポルナレフの仇敵である両右腕の男・Jガイルをリスペクトした説と、あえて違和感を持たせて視認性を上げようとした説、実は両腕じゃなくて右腕のみをすごい速度でぐるんぐるんさせて時刻を教えてくれている説があります。
答えでもヒントでも新たな説でも、何かご存じの方はぜひご一報ください。
*指が四本
指が四本に省略されているのは、海外のキャラクターとしてはあるあるですね。
ディズニーチャンネルやカートゥーンネットワークを見て育ってきた私としてはあんまり違和感ナシでした。
両右腕の件も私が知らないだけで、そういうあるあるの範疇だったりするのでしょうか。
少しラ・パウザから逸れますが、ココシャネルさんは獅子座だったとのこと。
私は占星術の心得が多少あるのですが、獅子座は自身がきらきらと輝き、そのカリスマ性で人々を惹きつけるリーダー気質の人が多いといわれています。
シャネルはリオンコレクションという獅子モチーフのアイテムも多く扱っており、ココシャネルさんが獅子の彫刻と共に写真に納まっている様子も見られました。
自身がどういった星の元に生まれてきたかをよく知っていたのかもしれませんね。
さて、そんなココシャネルさんがダイヤルの中に納まった「マドモアゼル J12 ラ・パウザ」。
いつもの日常から抜け出してしまえるようなユニークさを持ったお時計です。
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ぜひじっくり眺めてみてください!
NY