タキメーターってなに? ベゼルの数字の使い方

  • 投稿日:2023年10月06日

こんにちわ。中野の時計店れんずです。
先日のブログでクロノグラフについて触れました。

↑こちはらインダイアルについてのお話でしたが、
クロノグラフに関連して、本日はベゼル周りの数字『タキメーター』についてみていきたいと思います。

 

タキメーターとは?

文字盤の周り(ベゼル)に刻まれている数字のことで、正式には『タキ・プロダクトメーター』といいます。

速いという意味を持つ「タキ(Tachy)」と計算尺の意味を持つ「メーター(Meter)」が語源となり、ファンの間で「タキメーター」という名で親しまれクロノグラフに欠かせない機能として様々な名機に搭載されてきました。

計算尺の意味を名に持つ通り、ベゼルに刻まれた目盛り(数字とドット)とクロノグラフ針を用いて平均速度を割り出したり、1時間あたりの作業量を1分以内の計測で算出することができます。

大半のモデルは2時位置に400、6時位置に120、12時位置に60 の数字が刻まれています。
このメーターに関する厳密な規格はないので、モデルによってデザインに違いがあります。

では、タキメーターの使い方を見ていきましょう。

 

タキメーターの使い方①『平均速度の計測』

クロノグラフとベゼルに刻まれた数字を使って時速や平均速度を計測します。

1kmを何秒で走行したかによって、その区間のおおよその平均時速を求めることができます。

※測定可能範囲60秒以内。1分以内に1キロ走らなければ(時速が60キロ未満であれば)タキメーターでは測れません。

 

例1)自動車の走りはじめと同時にクロノグラフをスタートさせ、1km走行した地点でストップボタンを押します。
   その時にクロノグラフ針が指しているタキメーターの目盛りが平均時速になります。

1km走行に20秒かかったとすると、クロノグラフ針が指すタキメーターの目盛りは「180」を指すので、平均速度は180Km/hとなります。

ほんとか?と思った方、確かめ算します。

20秒で1Kmなので、1時間は、60秒×60分=3600秒…

3600÷20=180倍

1Km×180=180Km

180 Kmで合っていました。すごいですね。

 

タキメーターは、距離を1kmとして測定するのが基本ですが、それ以外の距離にも応用することができます

例2)車のスタートと同時にクロノグラフのスタートボタンを押して計測をはじめます。
   500m地点を通過したところでボタンを押して針を止めたところ、下の写真のようになったとします。

1km地点を通過した時クロノグラフ秒針が指し示しているタキメーターの数字(ここでは70)が車の平均時速なので、

500mを走行した場合の平均時速は目盛りの数字の2分の1になります

つまり平均速度は、70÷2=35km/hです。

2kmを走行した場合に70をさしていれば、平均時速は目盛りの数字の2倍(140km/h)になります。

 

このように、測定教理が1Kmでなくても平均速度の計算は可能ということです。

 

タキメーターの使い方②『1時間あたりの作業量の計測』

1つの作業を開始すると同時にクロノグラフをスタートし、終了したらストップします。ここは同じです。

その時に秒針が指しているタキメーターの目盛りが1時間にこなせる作業の最大回数になります。

もし、何か生産するならその数だけ作れるということになります。

例)シールを貼る作業の開始と同時にクロノグラフをスタートさせ、作業が終了した時点でストップボタンを押します。
  その時にクロノグラフ針が指しているタキメーターの目盛りが作業量になります。

1作業あたり40秒かかった場合、タキメーターの目盛りは90を指します。

なので、1時間に90回作業できる(または90個生産できる)ということになります。

 

 

 

終わりに

シビアに時間と争うレーサーやパイロット、宇宙飛行などのシーンで親しまれた歴史をもつタキメーター。
ロレックスの「デイトナ」やオメガの「スピードマスター」などのような、クロノグラフを搭載した時計の多くに備えられています。

機能性だけではなく、デザインの一種としてタキメーターを採用しているブランドも多いようですので、「レースとかやらないな…」「計測とかあんまり馴染みない…」という方もあまり気にせず、感覚的にお手に取ってみてはいかがでしょうか。

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